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Beethoven String Quartet   F-dur Op.18-1

第一楽章(Allegro con brio) 

 

 

ファーストヴァイオリン 

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   Vn1にはアンサンブルの難しいところは殆どないといって良いぐらいですが、Vn1の演奏が悪いために他のメンバーがばさばさと落ちるところは沢山あります。テンポが速いので大変ですが意思の伝わる演奏をすることが安全なアンサンブル上必須です。  
54 小手試し 速く演奏することと、走ることとは全然違います。主拍をはっきり弾く余裕がなくなったら赤信号です。ただし、ここは小手試しくらいです。2Vn,Va,Vcともに休符から入るのではないので落ちることはありません。ユニゾンの縦線が揃っていることを確認してください。 1-54-Vn1
80 大変 80小節の3拍目からユニゾンになります。コツとしては9つ目の16分音符であるd音を弾いた後チェロに合わせ弾けばピタリと合いやすいです。
Cresc.がしっかり書かれています。それどころではないと無視しないでください。
1-80-Vn1
88 責任 Henle版ではG.P. Eurenburg版スコアでは全休符ですが、いずれにせよVn1の責任と指示で長さを決めます。合図が難しいです。ほかにもこのようなところが何度もでてきます。 1-80-Vn1
111 くどい? 111小節も同様です。Vn1のパッセージがだんだん難しくなりますので走る機会も増えてきます。他のパートが落ちる場合には謙虚に反省してください。展開部の始まりである115小節から始まるパッセージはしっかりとフォルテで弾かなければならず、大変です。走ると他が困ります。くどいようですがこの楽章はこの音型とユニゾンができなければ様になりません。 1-111-Vn1
167 難所 167から180小節まではアンサンブルの難所です。Vn2がとても難しいので、Vcを聞きながら弾くのが最善だと思います。ffで一緒になるとホットします。 1-167-Vn1
その他   曲の構造をよく把握したうえで、適切にテンポを動かしてください。全体のテンポが遅すぎると曲にならないと思います。  
       



1-54-Vn1


1-80-Vn1


1-111-Vn1


1-167-Vn1

セカンドヴァイオリン

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 沢山 4パートの中でVn2パートが一番大変でした。ユニゾンのところはVn1の項でしつこく繰り返しましたので除外します。  
28   28小節で少々リタルダンドをかけることが良くありますが、その後29小節でしっかりとテンポを戻してください。ここで遅くなると演奏全体がどうしようもなくたるんでしまいます。 1-28-Vn2
58 有名 なぜかここで沢山の人が脱落します。シンコペーションであることもありますが、それよりもここのパッセージが弾きにくいこともあります。弓がチグハグになります。それに58小節の前はたいていのVn1はテンポ通りには弾きません。ガイドを書いておくほうが安全です。 1-58-Vn2
131 迷わず フガート風の展開が始まりますがVc,Va,Vn1,Vn2の順で入りますがVn1とVn2の入りの間は1拍しかありません。したがって並行八度かなとちらりと思います。かまわないのです。

(弦楽四重奏で並行八度を弾いたらだれかが落ちていると思いましょう。)

1-131-Vn2
171 難所 テンポが上がるにつれてここは難しくなります。それでも75小節までは何とかなるのです。76小節でヘタリます。チェロとの鏡像カノンのバトルの後始末があるからです。 1-171-Vn2
その他   再現部での説明は略します。


1-28-Vn2


1-58-Vn2


1-131-Vn2


1-171-Vn2

ヴィオラ

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   ユニゾンの難しさを対等とすればヴィオラがもっとも技術的には楽だと思います。その分だけ全体をサポートすることができると思います。本気で弾いて全体の効果を倍増させましょう。  
68 有名 58小節からはガイドを書くことをお勧めします。なかでも68小節はなんとなく入いりにくく良く落ちます。 1-68-Va
144 効果的に 落ちるところではありません。
弦楽四重奏で密集位置でかかれていて白熱した効果を上げるところが良くありますが、この部分もそうです。お互いの音が接近しているのでVn1,Vcが内声を締めつけるような効果があります。それに対してVn2,Vaが外声部をはね返すような音をだすと、例の緊張感に満ちた効果が出てくるわけです。
Vn2,Vaで協力して精一杯の音(sf)を出してください。響が変わりますよ。
1-144-Va
167 気を抜かず ここでは皆さんが音階練習をするのにヴィオラだけは涼しい顔をしています。でもここでのヴィオラの役割は確実なクライマックス作りです。オーケストラで言えばこのような場合に揺るぎ無い和音の壁を構成するクラリネット、ファゴット、ホルン、トロンボーン、ヴィオラ、チェロなどの役割を一手に背負っています。といっても167小節はピアノのなかのsfから始まる長いクレッシェンドです。最後の所(175小節以降)ではVn1の音量とつりあっていなければなりません。 1-167-Va


1-68-Va


1-144-Va


1-167-Va

チェロ

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   楽器が鳴らないので苦労しました。速い16分音符でC−線を鳴らすのは大変ですねえ。音量のことさえ目をつぶっていただければとても楽しく演奏できました。  
80 落ちる 72小節からやさしいチェロのソロがあります。気持ち良くなりすぎて80小節でガチャンと落ちます。仕方がないので何度も練習してコツをつかみました。fpのある78小節から1,2,3、と数えるのが良いのです。その次の小節から数えようとするとヴァイオリンは2拍目のようなフレーズを小節の第1拍目で弾いているのでアレッと思ってしまいます。 1-72-Vc
171 頼りにされる たいしたことはないのですが、ここでチェロが落ちると空中分解しますので良くさらってください。Vn2はかなり大変です。万一Vn2が落ちたら、、ここは気にせずにわが道を突っ走ってください。再現部のところでみんな一緒になれます。 1-171-Vc


1-72-Vc


1-171-Vc

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