Beethoven String Quartet F-dur Op.18-1
第ニ楽章(Adagio affecttuoso ed appassionato)
ファーストヴァイオリン
事故 | 推定原因とコメント | 楽譜 | |
全体 | 技術的にはやさしい楽章です。ファーストヴァイオリンとしての表現力が重要です。発想記号の正確な読みこみが必要です。 必然性のないリタルダンドなどは排除すべきです。 |
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1 | 最重点または大事故 | 出だしのテンポについては完全に納得できるテンポを選ぶましょう。ここでだらだらと始まるともうテンポは戻りません。 音楽解釈になってしまいますが、95小節からクライマックスが準備されます。Vn2,Vaがppで何かを予感するような刻みはじめます。このテンポを2楽章全体のテンポにするのはいかがでしょうか。 思っていたよりも多少速めのテンポになるはずです。クライマックスのところにテンポを上げろとかagitatoなどとは指示されていませんから、出だしからこのテンポをとるのが良いと思います。 |
2-95 |
2 | 余談 | 2小節目の長く伸びるAの音は序奏?、テーマ?。テーマを引き伸ばしたものでしょうが、なんとなくHammerklavierソナタの3楽章を思い出してしまいました。 | 2-2-Vn1 |
42 | 待つ身 | 40−41に美しいソロがあります。42小節になっても皆さんが入ってこないので「何でコンなところで」と不機嫌になってはいけません。落とし穴があるのです。Vn1を聞いていると譜例の中括弧でくくったように聞こえてきます。(これで良いのです) テンポはルバートしていますから皆さんはソロが終わったら入ろうと聞き入っています。ところがなんと最後の2つ音は独立していて中括弧のくくりには入らないのです。 その内、不審そうな顔つきで入ってきます。説明してあげましょう「誰も悪くない」と。 |
2-40-Vn1 |
60 | 難しい | テンポ通りに演奏するにせよ、リタルダンドをかけるにせよ非常にアンサンブルが難しいところです。表現が芸術的でなければなりません。私はリタルダンドをかけて、63小節でa
tempoが好きですが、1,2,3、と首をふると気分が壊れてしまいます。ここだけは指揮者が欲しくなります。 目を閉じて没我の境で弾くと却って上手く行きます。(ファーストヴァイオリンのもカリスマ性が必要なんだ。) |
2-60 |
96 | 難しい | 97小節をテンポで弾くのは大変です。外れたらもっとみっともないですね。でもfは絶対に必要です。ここはチェロにヴァイオリンの頭と合わせる歌い方をしてもらいましょう。刻みも勿論そうです。 98小節の発想記号はオイレンブルクではffpになっていますが、Henle版ではVn1がf、その他がfpになっています。 ファーストヴァイオリンはd音をfでひくかpで弾くかを選択しなければならないので差は重要です。 |
2-40-Vn1 |
2-95
2-2-Vn1
2-40-Vn1
2-60
2-97-Vn1
セカンドヴァイオリン
事故 | 推定原因とコメント | 楽譜 | |
全体 | 気持ち良く弾ける楽章です。 | ||
1 | 重要 | 出だしが何よりも肝心です。出だしは1、63、94小節の3回あります。合図はVn2が出します。譲り合いをして遅くなりませぬように!!! | 2-1-Vn2 |
28 | うっかり | 付点2分音符のテンポがうっかり半分になることがあります。42小節はVa,Vcが頭から入ります。 | 2-36-Vn2 |
2-1-Vn2
2-36-Vn2
ヴィオラ
事故 | 推定原因とコメント | 楽譜 | |
全体 | 楽しい出番が沢山ある楽章です。アンサンブル上難しいところは無いだろうと思います。 いくつか演奏上で気がついた一般的なこともあげておきます。 | ||
23 | 常識 | 緩徐楽章でのこのような部分は腕の見せ所です。「彼に弾かせると分散和音が歌になる。」です。 | 2-23-Va |
32 | 効果的に | 32−33小節ではヴィオラでしか表現できない音が求められています。チャンス到来です。 | 2-32-Va |
42 | 落ちますよ | ファーストヴァイオリンの項を見てください。ppで微妙な奥深い表現が求められるところですから念の為ガイドを書いたほうが良いかもしれません | 2-42-Va |
59 | 恥ずかしい | 59小節のダブルは音が取りにくいのですが練習してください。Vn2,Vaで完結する減七の和音が綺麗です。 | 2-59-Va |
2-23-Va
2-32-Va
2-42-Va
2-59-Va
チェロ
事故 | 推定原因とコメント | 楽譜 | |
全体 | アンサンブル上は難しいところはないと思います。 | ||
42 | 42−45小節は全ての楽器にたいしてピアニッシモの環境の中で極めて美しい表現が求められています。美しい響きと表現の練習には良い例だと思います。(そのまえに入りで落ちないでください) | 2-42 | |
98 | 一目みただけで自己顕示欲が盛り上がるソロですが、Vn1が何をやっているかを理解してください。Vn1が名手であってもVn1がチェロに合わせるよりも、チェロがVn1に合わせたほうがここはうまく行きます。(たいていのVn1は音程が心配で顔が引きつっています。)Vn1に合わせる余裕を持って素晴らしい歌を聞かせてください。 | 2-98-Vc |
2-42
2-98-Vc