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Beethoven String Quartet   G-dur Op.18-2

第一楽章(Allegro ) 

 

 

ファーストヴァイオリン 

 小節 事故 推定原因とコメント
全体   この曲はファースト・ヴァイオリンが好んで弾く曲ではないと思います。傷が目立ちやすく、ボロが出やすく、全責任がファーストにかかる曲なんて嫌ですね。演奏会ではファーストヴァイオリンは不公平だなと感じながら演奏を始めるか、その反対でしょう。


大まかなアンサンブルで楽しもうというならば大歓迎の曲です。しかしながらしっかり纏めようとすると極めて厄介なことになります。この一文の趣旨は「落とし穴」を主体にしているので、ややこしい話は出来るだけ避けることにします。

1−8 大変 言いたいことがすぐ分る明快なテーマです。初見で弾くと簡単でも絶対に仕上らないテーマの好例だと思います。

真面目にやる場合には注意点がいくつかあります。
1.優雅に一定のテンポで弾くこと。
2.正確なリズムで。3小節目の第1音は16分音符ではありません。
3.3小節目は縦の線(リズム)をきっちりあわせるのはマストです。
4.4小節目の最後の8分音符はスタカートではありません。どの版にもスタカートはないようです。

もう十分でしょう。楽しい曲ですからあまり気にせずに弾きましょう。だれも落ちません。

  猛練習 猛練習が必要なパッセージがたくさんあります。出かける前に必ずさらいましょう。例えば下記の2つ。
34
183
 34/183

34小節は第一主部を締めくくる重要なパッセージです。再現部になるとこの部分(183小節)が延長されてすごく難しくなります。高音のgがはっきり聞こえなければなりません。これを正確な音程できびきびとしたスタッカートで弾くのはプロの領域です。

34,185小節の2拍目の裏で他のパートが入ってきます。合図を出す余裕は必要です。 

61
61

Vn2が軽快なスタッカートで入ってくる場合を想定して練習しておきましょう。そのほかにも難所はあります。落ちるなんてことにはなりませんが、滑りやすい道ほど走りたくなるのが人情でしょうか?

105-129 さまにならない この部分は巨匠に書きなおしていただきたいなと思う部分です。音が薄くまた性格が弱いので、演奏でなんとかカバーする必要があります。となれば個人の魅力による名人芸しかありません。

なんとか効果を出さないともったいぶった首題の再現とつりあわなくなってしまいます。

117-129
  上のようなパートを無造作にトントンと弾いてしまってはアウトです。スコアを眺めながら研究してください。
まとめ

そのほかにも色々ありますが落とし穴のようなものはない楽章です。

 

セカンドヴァイオリン

  事故 推定原因とコメント
全体   指が回りにくいところはありますが、アンサンブルとしてはテーマのリズムがしっかり出来れば難しいところはないと思います。
161-167  もつれる 161小節からセカンドは裸状態です。セカンドポジションでとればHの音程が不安定になりやすいですし、ファーストでは指が回りにくいのです。167小節まではしっかりさらわないと目立ちます。
161-167

ヴィオラ

  事故 推定原因とコメント
全体   どのように効果的に弾くかが問題になります。アンサンブル的には少しよそ見をしても大丈夫でしょう。

ただし、精密に仕上げる場合は話は全く異なります。

122-128 本気で 厄介なリズムをきっちり守りながらクレッセンドをかけて曲を盛り上げるのは大変です。音程もとりにくいですが、練習のし甲斐があります。
122-128
その他

全般に言えることですが、粒のそろったスタカートが聞けるとうれしいですね。


チェロ

  事故 推定原因とコメント
全体   注意さえしていれば楽勝だと思います。メロディを歌う喜びはあまりありません。効果的なクレッセンドのために緩急自在なチェロが必要とされます。
105 105小節からは、第一主題の動機の展開による、、、などと説明できるのでしょうが、なんといってもメロディとして魅力に乏しいと思います。110−111当りでVn2と共同して少し面白い表現を作れそうですが、そんなことをするなと言わんばかりにsempre ppですからどうにもやりようがありません。どのように弾くかは悩むところです。一つ言えるのは、ここをヘボな音で弾いたのでは全体をぶち壊すということです。
 
その他 Vn1は苦労しています。助けてあげましょう。

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