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Beethoven String Quartet   G-dur Op.18-2

第四楽章 Allegro molto quasi presto 

 

 

ファーストヴァイオリン 

  事故 推定原因とコメント
全体   4楽章はやさしいと思ったらこれは大きな誤解です。ある程度のテンポで演奏しないと4楽章がいつまでたっても終わりません。ベートーヴェンは二分音符=92というテンポを指定していますが、実際に演奏可能な良いテンポだとおもいます。ぜひチャレンジしてください。
154-178 ここで決まる 下記がクリアできる最高のテンポを選んで、出だしのチェロに正確にこのテンポで始めるようにキツクいってください。まさに見せ場で正念場です。
163-178
122 落とし穴 122小節からフェルマータまでのどこにもリタルダンドとは書かれていません。ところがテンポがずるずると落ちることが多いのです。これは作曲家の意図するところではないことは明白です。緊張感が一挙に弛緩するという意味で落とし穴です。
122-
  これも要注意 76小節からテンポが変わらないカルテットのグループは相当の腕前だと思います。なぜか不明ですが大体が遅くなります。このような場所はメトロノームで感じをつかんでください。
76

セカンドヴァイオリン

  事故 推定原因とコメント
全体   テンポがあがった場合には刻みを合わせるのが難しくなってきます
90 落とし穴 88,89小節の休みをちゃんと数えれば問題ないのですが、Vn1との関係が80小節のようなリズムを補填する関係だと思ってVa,Vcに相乗りしたらはまってしまいます。運の悪いことにこのように弾いても和声的に問題がないので96小節になって初めて「われ誤れリ」と気がつきます。
90
129 不自然 チェロとの間でカノンをやりますが、無理に押しこんだ感じで気後れします。かまわずお祭り気分でやりましょう。
140

ヴィオラ

  事故 推定原因とコメント
全体   合わせにくいところはないと思います。
194   ここはVn2との掛け合いですが、194小節の入りさえ間違えなければ大丈夫です。
202   Henle版では203小節からfですが、Peter版では202小節からffです。ここはチェロとカノン風に掛け合いをするところですが、Vn1、Vn2はお休みです。チェロと対抗するだけでも、ヴィオラにはffが必要でしょう。
194/202  
その他   刻みが大変多いのですが、ファーストヴァイオリンとチェロが合っていないと刻みようがありません。この点を指摘してあげるのはヴィオラの重要な役目だと思います。本人たちは意外にも気づいていないことが多いのです。

 

チェロ

  事故 推定原因とコメント
全体   譜面上はやさしいのですが、ファーストヴァイオリンにピタリと合わせるのは大変なことです。Vn2,Va,Vcが同じリズムで動くことが多く、縦の線があっていないとスッキリとは響きません。その第1の原因がVn1,Vc間にあります。この楽章に関してはVn1に完全に主導権を渡してみてください。
1 落とし穴 冒頭の16小節は絵に描いたような問いかけ、応答が続きます。「挨拶」というニックネームもここに由来するようです。ところがここは厄介な落とし穴です。

チェロは最初にソロで弾き始めます。「なぜ俺が最初に弾くんだ」なんて気楽に考えると大失敗します。このテンポを練習で打ち合わせたテンポで弾くのは大変難しいのです。チェロがキチッと始めると沢山あるフェルマータの後のアンサンブルも上手く行きます。

しかし、テンポばかり考えているとサードポジションでとったGが見事にはずれてしまったり。人の目が気になってファーストポジションの予定を突然変更してGが外れたり。完璧に始めるのは大変なところです。

1
215 数えるところと数えないところ この長いタイを1,2,3、、と数えるのは止めましょう。音楽的に処理してください。それが難しければガイドを書きましょう。

234小節にフェルマータがあります。このような場所が3箇所ありますが、フェルマーターの処理には十分注意してください。伸ばす長さは音価の2倍か1.5倍と一般的にいわれていますが、数えられる長さにしておくと便利です。音を切ってから次のフレーズに入るまでの間を休符として数えられる間にしておくことはこの楽章では効果があります。

もしかして、数えるところと数えないところが逆転していませんでしたか?

215

 

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