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Beethoven String Quartet  A-Dur Op.18-5

第四楽章 (Allegro)

 

ファーストヴァイオリン 

  事故 推定原因とコメント
全体 難物? この終楽章に恐怖感を持つ方が多いようです。速いし、ポリフォニックだし、、という心配です。しかし2拍子だということを念頭において冷静に考えればあまり落ちる心配をしなくて良いことが分ってきます。

ファーストヴァイオリンは安全運転を心がければ問題はありませんが、どうしても見栄を張りたくなります。
誘惑1:速く弾きたい
誘惑2:華麗なスタカート

走る

慎重にでたヴィオラさんを無視して、華麗なスタカートで始めて、同じ音型を繰り返す毎にだんだん早くなってきて、誘惑1,2を満たした気分になります。他のパートはどんな速くなっても問題の無いところなのですいすいとついてきてくれます。せっかくフェルマータがあるのに、懲りずにまた華麗なテクニックを披露して走ります。やがてファーストヴァイオリニストはもっと難しいところを同じスピードで弾かなければ面子が保てないことに気づくのですが、おそかりし、自爆のリスクを負いながら突進します。
「終楽章は怖いよ!。」
「違います。見栄を張るからです。」

スタカートは最後の音(例4小節目の最後のA音)がはっきり切れていなければ本物ではありません。3小節目にはスタカートはありません。
がっちりと正確に弾きましょう。そうすれば走りません。

71 難しい

私の話で恐縮ですが、某超有名カルテットがここを目もさめるような軽やかなスタカートでさりげなく弾いておりました。「おれもガンバル。」と決意して必死に練習しました。絶対出きると思ったのです。

これほど惨めなことはなかったというのが結果です。よせば好いのに楽譜通りの運弓でひくのですから当然逆弓からのスタカートも出てきます。ベチャベチャの天婦羅でした。

練習でたまに成功するのと、どのような状況でも弾けるということは全然別のレベルです。トップ・プロのすごさを思い知らされました。

セカンドヴァイオリン

  事故 推定原因とコメント
全体   部分的にさらっておけばそれほど難しいところはありません。入りが難しいと思いますのでその部分だけをコメントしておきます。
125 乗り遅れる 例えば展開部のところですが、ヴィオラ、チェロ、ファースト、セカンドの順で入ってきます。この時「自分はファーストの次だ」と考えると入りが遅れるか入れないかのどちらかです。テンポがかなり速いという前提で考えますと、一定の拍が経過したら自分が入るという「アメリカン・フッとボール」のような感覚がうまく行きます。

拍の起点はもちろんヴィオラですがビオラのアーフタクトである三つの8分音符の最初の音ではありません。主拍、つまりタタタターのターの音です。ここから1,2,3と数えて3の拍がセカンドヴァイオリンが入るための拍になります。

このようにする理由は、アーフタクトの三つの音は安定していない(転んだりする)場合が多いからです。それに三つの音の前にあるべき8分休符をカウントすることはできません。ヴィオラさんに「ちょっと合図をしてから入って」とお願いしても無駄です。

タタタで数える準備をして、ゆっくりと1,2,3。これで間違いありません。

ヴィオラ
チェロ

  事故 推定原因とコメント
全体   セカンドヴァイオリンと同じです。

 

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