Beethoven String Quartet B-Dur Op.18-6
第三楽章(Scherzo - Allegro)
ファーストヴァイオリン
セカンドヴァイオリン
ヴィオラ
チェロ
事故 | 推定原因とコメント | |
全体 | メチャクチャになる | この楽章は全面的な破壊が進行する可能性があります。上機嫌のベートーヴェンが喜ぶ顔が見えてきそうです。ふざけまくっているようですが、正しく演奏すれば羽のように軽やかで洒落た楽章です。いつもながらトリオ部分との対比が素晴らしいです。 この楽章が、「なくした銅貨への怒り」(Op,129)のようにいつ作曲されたか分らなかったとすれば、後期の作品とされるかもしれません・ |
1-8 | 合うはずだ | ヴィオラ、チェロは規則正しいリズムを刻んでいますから合わないはずがありません。先ずは弓使いをしっかり書きこんでください。それから1,2,3とカウントして練習してください。これで速いテンポでも合えば問題ありません。 この方法では音楽がエンジョイできない方や、上手くゆかないかたはフレーズに切って考えてください。下記に先ずスコアを示します。 |
1-8 | 合わない |
テーマについて考えます。下記はVn1のパートです。 @、A,B、C、Dはフレーズを表しています。 ひん曲がったメロディーを4+4小節という正規構造に押しこむので、どこかにひずみが出てきます。その感覚的なひずみをどこで修正するかですが、6小節のEs音か、8小節の最後の二つのB音のどちらかです。最後は抜けないので、Es音をひずみの修正ポイントと考えてその前後でカウントの気持ちをかえるとすっきりと、かつ音楽的に処理できます。 ここまでがキッチリあっていれば、すんなりリピートできます。あっていないとリピート後の演奏はメチャクチャになり、、止まってしまいます。 |
9-12 | 合わない | Cは完全に拍が移勢しています。つまりVn1、Vn2は括弧で示したような拍のとりかた。(1)、(2)、(3)、、と数えたほうが音楽的です。このようにするとひずみがでますから、調整が必要です。フレーズCの最後でこれを行ない、Dは小節の頭から1,2,3と数えます。これで1、2、3、1、2、3、1、2、3、1ト、1、2、3、、、でうまく行きます |
1-12 | Va,Vc | Va,Vcが一体になってキッチリとしたリズムを刻んでください。テンポを変える必要は全くありません。 |
注 | 1,2,3と三拍子を数えつづけるのはメカニカルすぎて良くないと思います。拍がシンコペーションにより移勢する面白さが味わえません。自分なりにフレーズを認識してその拍に従うほうが楽しみが多いと思います。 | |
22-25 | Vn1のトリラーの下でVn2,Va,Vcにテーマが回ってきます。弓順と練習さえしておけば難しくありません。必ずパートをさらっておいてください。 | |
34-39 | Vn1が落ちる そしてVcも。 |
34小節第1拍で前のフレーズが終わり、シンコペーションのかかった音型が4回繰り返されて、次の結尾のフレーズが始まります。Vn1に気の毒なのは楽譜が8分の6のスタイルで書いてあることです。ここは1,2,3という風に音型にあわせてカウントして39小節の直前(G,E/CIS)で調整するのが簡単です。つまり他のパートを聞くということです。
この部分の内声部は問題なく弾けるようです。ただし耳の良いチェロは41小節の入りで半拍早く入ったりします。それはVn1/2/Vaの刻みの中に音型を聴きとってしまうからです。E/EFFEEF/FEEFFE/をEEFFEE/FFEEFF/と聴きとってしまうのです。ベートーベンもそのつもりで書いているのですが、チェロパートにはガイドを書いたほうがよいと思います。チェロの入り自体がフレーズの切り替えのポイントになっていて、前の部分と連続していないからです。 |
トリオ | Scherzoとはうってかわった優雅なトリオです。自由に美しく弾いてください。蛇足ですが、このトリオの出だしは、Scherzoの冒頭のように、やはり長いアウフタクトがついています。このような工夫をしてScherzoから大きく離反しながらも、ある意味での統一性を確保するベートーヴェンの技の冴えには感心します。 |