Beethoven String Quartet B-Dur Op.18-6
第四楽章 (Allegretto quasi Allegro)
ファーストヴァイオリン
セカンドヴァイオリン
ヴィオラ
チェロ
事故 | 推定原因とコメント | ||
全体 | 序奏とAllegretto quasi Allegroです。序奏はその題名のとおり鬱々としています。Allegrettoは喜びにあふれる明るい楽章で、ベルリオーズの幻想交響曲のワルツに感じが似ています。序奏さえ上手にやれば、問題のない楽章です。 | ||
序奏 | 難物? | まず小さな音符で表記された修飾音が多数あります。下記のスコアをご覧になれば、この長さは統一しなければならず、かつ正確な音程が要求されることは一目瞭然でしょう。ここで一つ疑問が起こります。ニ楽章であれほど細かい音符を正確に書きこんだベートーヴェンがなぜここでは実際の音価を指定しなかったのでしょうか。意外に短いのかもしれません。
つぎは調性と転調の処理です。冒頭はB-durですが、不安定なE-dur上の属七で半終止します。そして新しいメロディがh-moll/fis-moll/ es-moll/f-mollと受け継がれてVn1の半音階的上昇、チェロの半音階的上昇が続きffに達して静かにB−dur上で半終止します。 序奏の構造を把握した上で、正確な音程とニュアンスにとむ響を作らないとこれまた空中分解してしまいそうです。三楽章とちがって、今度は聞いているほうが逃げ出したくなります。 |
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Allegretto |
この楽章に入れば後は花道を行くようなものだと思います。ただ一言だけコメントするならば、Allegretto quasi
allegroの速度です。 ベートーヴェンがアレグレットをどのように使ったかについて少し勉強中です。Op.18-4の終楽章でヘンレ版だけがAllegrettoと表記していますが、Allegrettoには(1)アレグロとアンダンテの間の速さで(2)短いアレグロの曲という二つ意味があります。 Op.18-4の終楽章は217小節の大曲。Op.18-6の終楽章は296小節もあります。そしてOp.59-1のニ楽章は476小節の超大曲です。短いアレグロという曲ではありますまい。 下記にベートーヴェンの書いたアレグロのリストを一部あげますが、速度記号ならばアレグレット・ヴィヴァーチェというのはいくらなんでも矛盾しています。 私にはベートーヴェンがアレグレットにたいして何か特別な意味を持たせているような気がするのです。 弦楽四重奏から(すべて)
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