目次に

Mozart String Quartet  K169

1楽章:
慣れてしまえばなんでもないのですが、初見ではヒット率の高い落とし穴があります。曲が始まったとたんに止まったりします。

2楽章:
2楽章はアマチュアの弦楽四重奏コンクールの予選課題曲として最適です。フォルテ(ベーレンライター版)ではじめるかメゾフォルテ(ペーター版)で始めるか。(ブライトコフは括弧つきでフォルテです。)ファーストヴァイオリンのソロと音色の美しさ。ゲネラル・パウゼの処理。刻みのテクニック。短いアウフタクトがある場合のアンサンブルのテクニック。全体の響と適切なテンポ感覚など多くの基本的な要素をチェックすることができます。しかも演奏技巧としてはやさしいのでアンサンブルのテクニックに集中することが出来ます。

3楽章:
木に竹を継いだような、人を馬鹿にしきったような、このメヌエットは素晴らしいと思います。とくにトリオは完全に冗談です。「これでもE−Durなんだ。」といってモーツアルトが笑いころげているようです。

 

ファーストヴァイオリン

1楽章 Molt Allegro 

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   喜遊曲風の楽しい楽章でありファーストヴァイオリンは特に問題はありません。  
1-7 ほかが落ちる。 冒頭でなぜか伴奏パートが総崩れになります。不思議に思うかもしれませんが、皆さんは4拍子と勘違いするのです。とくに初見のときはよく起こります。「責めてはいけません。」
4分の4で読んだほうが自然です。音感の良いVc,Vaの方ほど落ちやすいのだと慰めてあげましょう。
k169-1-1
58-65 まごつく アンサンブルが難しいわけではありませんが、66小節から主題がfis mollで始まります。まごついていると61小節の音階を旋律的短音階ののりで弾いてしまいそうです。そして全く突然に65小節からD−Durに復帰します。気持ちをしっかり入れ替えないと訳のわからない演奏になります。 K169-1-58


k169-1-1



K169-1-58

 

2楽章 Andante

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   美しいソロで始まります.美しいヴァイオリンの音色が期待されています。  
17 アインザッツ 16小節はゲネラル・パウゼです。そして17小節で全員がfで入ります。弦楽四重奏の一番基本になる能力が要求されます。セカンドとヴィオラの刻みがぴったりと合っていること。全員がためらいなく適切なフォルテでしっかりと弾き始めること。録音を聞いて満足できるまで練習しましょう。 K169-2-17
36 リズム 35小節からヴィオラがフォルテで3連音符を刻んでいます。16部休符をまもって正確なリズムで弾きましょう。ここはセカンドと同じリズムです。さらに訴えるような感情が表現されていなければなりません。 K169-2-36
46 アンサンブル 45小節の最後の音はドットのついた16分音符、32分音符ではありません。アンサンブルが難しい。 K169-2-46
110 ヒヤリ コンクールならば、せっかくここまでみんなで上手く弾いたいても、ここで音程が外れては落選確実です。このようなプレッシャーの中で絶対確実に演奏できなければならないのがファーストヴァイオリンです。ファーストヴァイオリンは減点法で評価されるという典型的な例です。 K169-2-110


K168-2-15


K169-2-36


K169-2-46


K169-2-110

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   なにもありません。  

 

4楽章 Rondo (Allegro)

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   ファーストヴァイオリンの責任が重い楽章です。楽しげに始まる2小節目までのフレーズには伴奏がありません。ここをしっかりと弾く事は合奏上大事です。他のメンバーは結構入りに苦労しています。「ここからだよ。」と入り示しているような演奏が、慣れるまでは必要です。  
初見 テーマをセカンドポジションで取ることを知っていれば、問題はないでしょう。(初見ならまごつきます) K169-4-1


K169-4-1

セカンドヴァイオリン

1楽章 Allegro 

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   難しくありませんが、動き回るので忙しいです。  
26 落とし穴 26小節は立派な落とし穴です。すぐ復帰できるのですがごまかしている人も多いかもしれません。ここのセカンドのフレーズは必然性がありません。(落ちても誰も気がつかない?)4分音符が二つで十分なところですから不自然さのために、ためらってしまい落ちるというわけです。お飾りのつもりで弾きましょう。 K169-1-26
68 手ごわい ここは弾きにくいです。 K169-1-68

 


K169-1-26


K169-1-26


K169-1-68

 

2楽章 Andante

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
28 メロディ 28小節からはメロディです。ファーストヴァイオリンとの係留の関係が続きます。 K169-2-28
58 一度は本気で 弦楽四重奏をやる限り何度も繰り返して表れるパターンです。初見いがいでは落ちることはないかもしれませんが、短いアウフタクトを正確に合わせる練習とテンポをしっかり保つという練習をしておきたいものです。 K169-2-58



K169-2-28


K169-2-58



K169-2-58

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   落とし穴はどこにもありません。  

 

4楽章 Rondo(Allegro)

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 危ない 変則的な入りが多いので慣れないと落ちます。常にVa,Vcと一緒ですからスタイルに慣れればなんでもありません。ベーレンライター版ではVn2,Va,Vcパートに丁寧にガイドが書いてあります。ペーター版にはありませんので書きこむほうが無難です。(ガイドを書くときは、全ての関連するところに丁寧に書きこんでください。役立ちます。) K169-4-1


K169-4-1

ヴィオラ

1楽章 Allegro 

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   事故なんか起こりそうにない譜面ですが、、、、。  
3 落とし穴 1楽章は3拍子です。3拍子ですよ。それを決定するのはここです。VaかVcのどちらかが生き残っていれば止まりませんが、2人そろって勘違いすることもあります。(Vn1参照)

テーマが出てくるたびに、落ちていてはいけません。

K169-1-3
22 もつれる イ長調になるとVa,Vcは苦労し始めます。ここでは指がもつれます。練習してきっちり弾きましょう。再現部も同じです。 k169-1-22



k169-1-3

 
K169-1-22

2楽章 Andante

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 なし 落ちるようなところはないのですが、この楽章は腕の見せ所です。完璧な音程とリズムと感性を見せつけることが出来ます。(その逆もありますが)  
  完璧な音程と、豊かな響が必要です。 K-169-1
17 刻み セカンドヴァイオリンと一緒に一糸乱れぬ入りを見せてください。 k-169-1
35 ソロ ここはソロです。自信に満ちた音が必要です。音楽性が問われます。但しソロらしく見える39小節はチェロのソロで、ヴィオラは添う形です。 K-169-35
44 注意 Vn1,Vn2がピタリとそろったとしても、このようなところでVa,Vcの頭がそろっていないと台無しです。 K-169-35
59 難しい 59小節の音型はダブルバーの後だけによけい難しいです。セカンドと一緒に入ります。 K-169-35
59 おまけの落とし穴 59小節の前が易しすぎるので、良からぬ雑念が沸きます。どうやって合図しようか?なんて考えているとえらい目にあう場合があります。 58小節がきてセカンドヴァイオリンの気配をうかがい、緊張感が増します。その途端に、なんとファーストヴァイオリンの音が聞こえて、「あっ、リピートを忘れた。マヅイ。」ということになります。楽譜に書きこんでおきましょう。 K-169-35

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 小さな落とし穴 アンサンブルは易しいのですが、トリオは不思議です。トリオ前半はMozart自身がわざわざDis音にシャープを書きこんでいます。不思議なことにこの音は対斜を起こしているように感じてDが弾きたくなるのです。ということでトリオ後半の同じ所をうっかりDで弾いてしまったりします。  

4楽章 Rondo (Allegro)

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 危ない セカンドヴァイオリンの項を見てください。  
うっかり ホットした瞬間につぎの音を弾き忘れることがあります。8小節の2拍目ですが、ファーストヴァイオリンはどんどん先に行ってしまいます。乗り遅れませんように。 K169-4-8
79 少し難 少し弾きにくいです。他のパートが弾きやすいので目立ちます。 K169-4-79


K169-4-8


K169-4-79

チェロ

1楽章 Allegro 

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 危ない 楽譜面はごく易しいのですが、出だしからひどい目にあいます。それからイ長調は難しいですね。Gis、Fisの音程もありますが多少のプライドのためにA,Dを開放弦以外で弾こうとすることから問題は始まります。VnにくらべてVcは第3ポジションまでが特に難しい楽器だと痛感しました。  
落ちる 1楽章は3拍子です。分っていても冒頭は4拍子に聞こえます。決して油断なさるな。(Vn1を参照) K169-1-1
74 プライドを捨てる 73小節のAの音は開放弦で弾きたくないですね。でも72小節から78小節はどの音も完璧な音程で弾く必要があります。10回弾いて1回でも音程が外れるようなら、恥ずかしくても音程の外れない指使いを選択するべきです。厳しいですが「お家のため」
と思って練習してください。
K169-1-72


K169-1-1


2楽章 Andante

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   アンサンブル上で落ちるという問題はないと思います。しかし正確な音程が必要なことは言うまでもありません。  
17 ばらばら 16小節はゲネラルパウゼで全員がお休みです。17小節で全員がfで入ります。ここのリードは言うまでもなくVn1です。チェロはVn1に見合った音量で正確に同時に発音しなければなりません。その後のテンポはVn2,Vaが決めます。緊張感が必要です。  
62 難しい Vaと一緒です。リズムも音程も難しいです。59小節で大事なのはVn2,Vaに合わせて正確に頭の音を発音することです。音程を心配して遅れてはVn2,Vaに申し訳が立ちません。  

3楽章 Menuetto

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   落とし穴はどこにもありません。ただしトリオについてはVaの項を参考にしてください。  

4楽章 Rondo (Allegro)

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 危ない 下記の8小節が問題なければ、事故にはあいません。セカンドヴァイオリンの項を見てください。  
うっかり ホットした瞬間につぎの音を弾き忘れることがあります。8小節の2拍目ですが、ファーストヴァイオリンはどんどん先に行ってしまいます。乗り遅れませんように。 K169-4-1


K169-4-1