弦楽四重奏曲の落とし穴
どんなに練習しても、いつも落ちるところってありませんか?なぜだろう?
理由は簡単です。落とし穴があるから落ちます。私は幸いにも、全パートがなんとか演奏できるので落とし穴探しの旅に出ました。落とし穴の名所もありますし、ひなびた隠れ落とし穴も有ります。
このシリーズは弦楽四重奏のアンサンブル上のメカニックに焦点を絞っています。したがって落ちる、危ない等、色気のない即物的な記述になりがちであり、心をこめて弾くべきところもアンサンブル上問題がなければ、「易しい」の一言で済ましてしまう場合もあります。真面目なカルテット・プレーヤから重要なポイントをはずしているとお叱りを受けるかもしれません。
旅の途中で思いついたことも合わせてご紹介しています。弦楽四重奏をとにかく沢山演奏したい皆様のお役にたてば幸いです。
まずはモーツァルトの弦楽四重奏から「落とし穴探し」の旅を始めます。下記の6曲はミラノ四重奏曲と呼ばれる作品群です。
ウイーン四重奏曲になると弦楽四重奏がより弦楽四重奏的になってきます。
モーツァルト(ウィーン四重奏曲集) |
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1 | Mozart String Quartet in F K.168(1773) |
2 | Mozart String Quartet in A K.169(1773) |
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モーツァルトの初期の弦楽四重奏曲はこれで一応終了します。モーツァルトの次の作品であるK387まで約10年ほど間があきます。そんなこともあり「落とし穴探し」もモーツアルトをしばらくお休みします。
Beethovenの作品18のシリーズ
順序として作品18を取上げますが、このシリーズは技術的にファーストヴァイオリンが非常に難しいという特徴がありますが、アンサンブルとしては易しいと言えます。作品18-1一楽章,18-3終楽章、18-6三楽章などややこしいところも少しはありますが、全体としてはモーツアルトの四重奏と同等の合わせやすさです。しっかりと規則的に書かれていますので、ラズモフスキーなどとは難しさの度合いが基本的に違います。
作品18の6曲をベートーヴェンはほぼ同時期に併行して作曲しているために、モーツァルトの初期の四重奏曲のような成長の過程を6曲のなかに見ることはできませんが、ベートーヴェンが中期、そして後期へと成長するための萌芽のすべてを感じ取ることができるような気がします。
このような意味でこのシリーズは室内楽を楽しむものへの素晴らしい贈り物です。
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ベートーヴェン 作品18 |
1 | Beethoven String Quartet in F Op.18-1 |
2 | Beethoven String Quartet in G Op.18-2 |
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何とか作品18を終える事ができました。次にどの曲に挑戦してみようかと考えております。
合わせにくいといえば、ラズモフスキーかなと思います。そのほかにブラームスの四重奏もありますし、、それとも趣向を変えてみようか等と思いをめぐらしております。