目次に

Mozart String Quartet  K172

 1楽章は古風なスタイルで書かれていると思いました。2楽章はヴィオラのオブリガート付きの美しいアリア。3楽章はヴィオラのためのメヌエット。4楽章は元気の良いAllegro assaiです。ヴィオラが上手く使用されています。

ファーストヴァイオリン

1楽章 Allegro spiritoso 

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   日頃良く基礎を練習している方には楽しく弾ける楽章です。  
気持ちが合わない 不意打ちを食わせるような突然のユニゾンです。5小節目のスラーはないほうが良いと思います。(ベーレンライター版) k172-1-4
18 もつれる このようなパッセージでもたついてはVn1としてはみっともないです。チェロがひたすら刻んでVn1,Vn2が歌い合うようなパッセージの見納めになります。これ以降の作品ではVn2の役割が微妙に変化しているようです。 K172-1-18
121 難しい 意外にもここはきっちりと弾けません。練習が必要です。 K172-1-121


k172-1-4

K172-1-18


K172-1-121

2楽章 Adagio

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   ストラディバリウスが欲しくなる楽章です。美しく演奏しないとVn2,Va,Vcの皆様に申し訳が立ちません。
倍になる 立派に落とし穴の条件が揃っています。1)視覚的な複雑さ。2)隣り合った音符がの音価が倍または半分でない。3)綺麗に弾きたいという意欲がある。どこだかお分かりですか?

危ないのは6小節目3拍目のヘ音です。一度16分音符の単位で拍を数えながら、どのようなリズムなのかはっきりさせておくことをお薦めします。3拍目のトリラーにこだわったりしてリズムがおかしくなったりします。

K172-2-6


K172-2-6

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   リラックスして楽しんでください。  
13  貧弱 高音のesはベーレンライター版ではeです。完全にF-durになっていますからeが正解だと思います。問題は指使いです。修飾音で表記されていますがこのe音は最もしっかり弾かなくてはならない一番重要な音です。小指を2回使うような小手先の指技では貧弱にしか響きません。ここにヴィブラートがかけられるようにその他の運指を調整するのが正しい弾きかたです。 K172-3-12


K172-3-12

4楽章 Allegro assai

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   合わないということはないと思います。しかし三連音符のパッセージが多くしっかりと練習をしておく必要があります。  
57 指が回らない? アンサンブルとは関係ありませんが57小節のようなところで余りにもトリラーの数が少ないのは寂しいものです。小指でのトリラーに自信がなければ適当な指を使ってでもしっかりトリラーを行なうべきです。アマチュアはトリラーとヴィブラートについては節約し過ぎではないでしょうか。 K172-4-57


K172-4-57

セカンドヴァイオリン

1楽章 Allegro spiritoso 

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   面倒は起こらないと思います。通常の練習をしておけばこんなはずじゃなかったということにはなりません。  
81   ここの跳躍は大きいので遅れないようにしましょう。 K182-1-81
119 おなじみの型です。Vn1と十度です。ぴったり合わせたいものです。 K182-1-119

 

K171-1-8 

2楽章 Adagio

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 Vn1の美しいメロディを味わいながらチェロと協力して弾いてください。ヴィオラのパートで詳しく説明しますが、ヴィオラとの関係は切り離したほうが良いと思います。

 

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体 うっかり 冒頭はしっかり4小節休んでください。Vn1と一緒に入ったらアウトです。特に繰り返した後にのびやかに歌うVaに聞きほれると「うっかり」が起こります。  
27 あれ! 27小節の前にはさらに2小節休止があります。大またで歩くチェロにのって、Vn1,Vaが楽しげに弾いております。26小節のVn2の入りは属七がなっている環境ですので、数を数え間違いたかなと一瞬迷います。とぼけた感じで入れば良いのです。 K172-3-27

 
K172-3-27

4楽章 Allegro assai

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   3連音符が多く、弾きにくいパッセージがあります。良くさらえば問題はありません。95小節から始まるポリフォニックな場所も2小節単位の入りで、はっきりしていますからパッセージが弾ければアンサンブル上の問題はないでしょう。  

ヴィオラ

1楽章 Allegro spiritoso

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   意外にも弾き甲斐があります。  
13 落ちる 10小節からVn1は反復進行をしていますが、Vn2,Vaは違います。それでいいのかなと思って13小節に入ると、他の皆さんは第2拍目の音型を弾きます。間違ったかなと思って合わせるとアウトです。また3拍目のEsをEで弾きたくなるのも要注意です。 K172-1-13
93 長い 93小節から6小節間シンコペーションが続きます。かなり長く感じます。弓使いか、ガイドくらい書いておかないと体調が悪いときにはロストするかもしれません。 K172-1-93



K172-1-13

2楽章 Adagio

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   ヴィオリストにとって喜びのあふれる楽章です。でもこのような音型になじまない方には地獄かもしれません。この楽章の組立てはVcがバスをひき、Vn2,Vaが和音を充実させて、Vn1が美しいメロディを奏でるということだと思います。そしてVn2,Vaのリズムは補完する格好になっている。これで良いでしょうか?

間違いではありませんし、弦楽合奏なら正解だと思います。でも弦楽四重奏として、私は少し違う見解を持っています。Vn2,とVaパートは基本的に異なっていて、Vaパートはかなり表情を込めて弾く余地があり、結果としてVn1に対するオブリガートのように弾くこともできると思います。

ビオラパートには和音のなかに埋没するか、自己主張するかのオプションがあります。センスの見せ所でしょう。上手く使い分ける楽しさは弦楽四重奏ならではです。

 
1  はいれない! 第1小節の入りはfですが、ここで落ちては始まりません。頭の音はすべてアウフタクトです。このような音型が苦手な方のためにアドバイスがあります。全部スラーをかけずにアウフタクトとその他に分けて弓を返すのです。これなら難しくありません。とはいえ全部弓を返すとミエミエなので、呼吸が苦しくなってきたら息継ぎを入れる気持ちで弓を返します。これで随分楽になるはずです。 K172-3-1


K172-3-1

3楽章 Menuetto

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   メヌエットのテンポでゆったりと歌ってください。テーマはとてもヴィオラにあったメロディだと思います。楽しみましょう。  

 

4楽章 Allegro assai

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   弾き甲斐があります。しっかり練習をしましょう。  
43 え? 43小節ー46小節はVn1に呼応するメロディです。そのようにしっかり音を出す必要があります。 K172-4-43
95 口火 ポリフォニックな展開の口火をビオラが切ります。フォルテでしっかり弾くのは難しいパッセージです。 K172-4-95


K172-4-43


K172-4-95

チェロ

1楽章 Allegro spiritoso

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   大変に明快なバスです。トラブルはないと思います。あまり指摘する点がありません。  

2楽章 Adagio

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   特にありません。  

3楽章 Menuetto

  事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   書くことがなくて申し訳ないのですが、明るくおおらかにメヌエットらしく。  

4楽章 Allegro assai

小節数 事故 推定原因とコメント 楽譜
全体   細かい動きがありますので練習しておく必要があります。でもB-durというのはチェロでは弾きやすい調性です。  
9 テンポ 何も書かないのでは申し訳ないので些細な点をあげます。曲初からVn1,Vn2とVa,Vcの掛け合いで8小節が過ぎます。そして元気の良いメロディが9小節から始まります。休止をはさんで満をじして入ってくるVn1、とVa,Vcは違うテンポを持っている場合があります。ぴったり合わせるという注意をしないとばらつきます。 K172-4-9
101   この曲での唯一の華々しいところです。Va,Vn1,Vn2の次に入ります。フォルテでがっちりと聴かせたいものです。 K172-4-101


K172-4-9


K172-4-101