用語について

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作曲学的な分析を極めるわけではありませんので必要最小限の用語を使い回す方が現実的です。ここでも一楽章の典型的な形式であるソナタ形式に問題を絞ります

下記にあげた部分については演奏家は「どこから、どこまで、」という解釈を音符レベルで具体的に判断し決定しなければなりません。演奏は物理的な行為であり音楽論文ではありませんから、この辺までなどというあいまいな解釈は物の役には立たない筈です。このような点を曖昧にすると、複数で演奏する形態の室内楽などでは演奏効果が著しく落ちます。

序奏: 提示部に対する序奏の役割を持つと判断される部分です。
提示部 ソナタ形式で最も重要な部分です。基本的には第一主題部、経過部、第二主題部、結尾部からなります。
第一主題: 楽曲の主要な基礎楽想であり、この曲を作曲する根拠となる主題。第一主題を印象づけ、徹底することが作品の目的です。したがってどのように演奏したいかを詳細に検討して決定する必要があります。
経過部   第一主題の動機や部分を使用したり、第一主題から離反したり、その他さまざまな手法で第二主題部への接続を構成する部分です。
第一主題部  主題はただ一度提示されるのではなく、再提示されたり、変形されたり、或いは別の楽想を挿入したりしながら、経過部をへて、第二主題に接続します。この部分を第一主題部と名づけます。第一主題部の終わりをどこにするかというのは、大変悩ましい場合が多いのですが、これも決定しなければならないポイントです。
第二主題: 第一主題に対比される副主題ですが、重要なポイントは、提示部では基本的には属調で提示され、再現部では主調で再現されることです。古典期には忠実に守られることが多い規則ですが、ロマン派以降では随分変形を受けます。しかしロマン派以降の作曲家もこの原則は十分わきまえており、特別な事情で属調以外の調を選択しているわけです。従って属調以外をとっているときは何故かと考えることが必要です。楽曲分析上複数のテーマが現れる曲について第二主題はどれかということを決定する根拠になる規則です
第二主題部: 第二主題の提示、展開、推移その他の関連した部分を総称した名称です。次の結尾部を含ませる場合もあります。
結尾部:  第二主題部から提示部の最後までをさします。
展開部:    展開部は千差万別ですので、必要に応じて、展開部1、展開部2という具合に番号を振り、内容を簡略に示しておきます。展開部は提示部から再現部の間です。
再現部: 提示部と同じ形式を取るのが原則であり第一主題部、第二主題部、結尾部に分けることができます。発想記号を含めて提示部との差異を十分に研究する必要があります。
コーダ:   再現部の終了をもってコーダが始まりますが、数小節の短いものから100小節を超える複雑な例まであります。コーダの入りを決める要素としては、ソナタの場合ならば提示部の構造が決め手になる場合が多いようです。長大なコーダは再度にコーダ内のコーダを持つのが普通です。

 

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