作品がどのような背景で作られているかについては下記のようなことを押さえておけばよいと思います。
l 作曲家の全作品の中でどのような地位をしめるているのか。
l 同時期に作曲された曲にどのような曲があるか
l この作品にまつわるエピソードなど
背景については本で調べたり、CDを聴いたりということです。ブラームスのような著名な作曲家については常識として知っていることが多いですから、この作品の成立事情などを少し調べれば十分でしょう。因みにこの作品と同年代の作品を下記に挙げます。
1865年
l 弦楽六重奏第2番ト長調Op.36
l チェロソナタ第1番ホ短調Op.38
l ワルツ集(4手)Op.39
l ホルン三重奏変ホ長調Op.40
また成立の事情としては、
l 1855年頃から着想されほぼ10年を費やしていること
l ブラームスがかなり内密に作曲を進めていること
l アガーテとのこと
l 出版社のブライトコフとの長い不和の原因になったこと。
のようなことを知っていれば十分だと思います。もし「乙女の祈り」を演奏するならば背景の調査はもっと時間のかかるものになるはずです。
このような背景の理解は、様式の理解とほぼ同様であり、演奏するメンバー全員が基本的なことを共有していることはきわめて重要です。