分析表

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提示部と再現部の構造の比較を行ないながら、第一主題部の決定を行ないます。

このときに「呼び名」を活用できます。

先頭から:IN-(T1-T1a-P1-T1-T1a)-(P2-P3-P3-P3a-P3b)-(T2-T2-T2a,,,

再現部:          (T1-T1a-P1-T1-T1a)-(P2-P3-P3-P3b)-2)-(T2-T2-T2a---

上記のように比較すると(T1-T1a-P1-T1-T1a)の部分が明確に第1主題部であることが分ります。

経過部は(P2-P3-P3-P3a-P3b)であることも明白です。ただし再現部ではP3aの部分が落ちています。そして明らかに(2)の部分(2小節しかありません)が追加されています。この部分については後に詳しく触れます。

同様にして第2主題部等についても

提示部: (T2-T2-T2a-T2b)-(P4-P4a-P5b)-IN

再現部: (T2-T2-T2a-T2b)-(P4-P4a-P5b)-IN-T1-T1-T1-Coda

以上の構造から、(T2-T2-T2a-T2b)が一纏まりとして扱われ第2主題部を構成していることが明らかです。そして(P4-P4a-P5b)が結尾部であり(T1-T1-T1-Coda)がコーダを構成していることも分ります。ここでは議論しませんが第2主題部と結尾部を分けることはなかなか難しいことが多く、上記でT2bまでを第2主部としましたがこれに異論のあるかたもあると思います。

しかし分析の結果このように整然とした結果になったのはブラームスがこのように構成しているからです。それではブラームスは提示部を書いた後、再現部はただリピートしたのかというとそんな楽で雑な作曲をする人ではありません。考え抜かれた結果です。

 以上を纏めるとなんとなく作品分析表が出きあがります。作成者がこの表を見るときはこの1楽章が眼前に見えたように思えます。しかし残念ながら自分で作成してみないことにはこの表の有難味は分りません。したがってメンバーの全員にこの作業をやってみて欲しいのです。ここまでは誰がやってもほぼ同じ結果になります。一応分析表の案ができたところでいったん作業を終了させます。分析表だけでは演奏の助けにはなりません。

2小節序奏については提示部に含めても良いようにみえますが、その様にすると再現部の2章節前から始まる序奏の音型には開放弦のD音の指定がなければならないと思います。Eulenburg社の楽譜によれば再現部から開放弦のD音の指定があります。それで、ブラームスはこの部分を主題部とは判断せずに序奏と考えていると判断しました。

ブラームスの弦楽六重奏曲第2番ト長調Op.36 1楽章 (分析表)

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